PMSで発症する精神面の不調を改善するために行うのが抗うつ剤治療です。
診察の過程や、使用される薬品について解説しています。
抗うつ剤などの薬物療法で精神症状を抑える
精神科や心療内科では、PMSの精神症状に注目して、抗うつ剤や気分を調整する薬剤などを処方して治療することがあります。特に、月経前不快気分障害(PMDD)のような精神症状が強い方への治療としては、抗うつ剤の投与が第一選択となります。心療内科の医師やカウンセラーがカウンセリングを行って症状を確認してから処方され、PMDDの患者さんの5割程度に効果が表れると言われています。
PMSの症状の中でもイライラや抑うつ、不安感や絶望感などが強く表れていて、心療内科または精神科を受診した患者さんには、医師やカウンセラーがカウンセリングを行います。症状の始まった時期や内容、具体的な行動などを聞き取り、症状の強さなどからどの薬が適合しそうかを判断して処方します。
PMDDなど精神的な症状が強い方には、SSIRと呼ばれる抗うつ剤の一種が処方されることが多いようです。SSIRは選択的セロトニン再取り込み阻害薬と呼ばれる薬。脳内で一度放出されてから再取り込みされる性質を持つセロトニンの再取り込みを阻害し、セロトニンの量を増やそうと作用する薬剤です。
セロトニンは精神を安定させる働きを持つ神経伝達物質なので、脳内のセロトニン量が増えることでイライラや落ち込みが少なくなるというわけです。
薬には必ず副作用があります。SSIRなどの抗うつ剤の場合は、吐き気や眠気、口の渇きや便秘などの副作用が報告されています。個人差がありますから、異変を感じたら処方を受けた医師にすぐに相談しましょう。
港区新橋にある心療内科『ひびおクリニック』では、抗うつ剤や漢方薬を処方してPMSの治療を行っています。症状が重い患者さんには、婦人科でのホルモン治療を勧めることもあるそう。こちらでは低用量ピルの処方は行わないので、婦人科を紹介してもらうことになります。
港区南青山の精神科『青山メンタルクリニック』では、婦人科領域のホルモン療法などで効果が得られない患者さんに対して、抗うつ剤などを使った精神科領域の薬物療法で対応しています。具体的には、ごく少量の抗うつ剤と気分調整剤を併用しているそうで、女性医師が丁寧に行うカウンセリングも好評です。