PMSの原因は、ホルモンバランスの乱れ・ストレス・貧血・低血糖など、多くの理由が考えられます。
代表的な原因について解説しています。
PMSを引き起こすと考えられる、様々な原因を紹介
月経前症候群(PMS)は、その名の通り月経の前の2週間〜1週間の間に、頭痛や腰痛、下腹部痛、乳房の張りや痛みなどの身体的な症状が表れるもの。体全体のむくみやだるさ、倦怠感などが起こることもあります。しかし、PMSは多くの女性が経験していますが、その程度は人それぞれ。ここでは、PMSが重症化する原因について解説していきます。
女性の身体は、妊娠して子供を産む機能を維持するため、毎月決まった周期で女性ホルモンを分泌し、受精卵を迎える準備をしています。
卵子を育てる排卵前の時期はエストロゲン(卵胞ホルモン)が多く分泌され、排卵後には子宮内膜を厚くするプロゲステロン(黄体ホルモン)が多くなります。排卵後から月経前の2週間ほどの時期は、2つのホルモンの分泌量が逆転し、月経周期の中で最もホルモンバランスが崩れる時期。このことがPMSを引き起こす要因だと長年考えられています。
プロゲステロンが増加すると、脳内の神経伝達物質や水分代謝に影響を与えて、体調が不安定になりますし、エストロゲンの減少が精神を安定させる神経伝達物質・セロトニンを減少させることにつながってしまい、感情が落ち込んでしまうのです。
このように、月経前のホルモンの乱れによって身体的・精神的な不調が引き起こされる、というのがPMSのメカニズムとして長年信じられてきました。しかし、女性はみな2つのホルモンが同じような周期で分泌されて月経前にバランスが乱れるはずなのに、PMSの症状が激しい人とあまり出ない人との差があるのはなぜなのでしょうか。
実は、PMSが起こる要因には諸説あり、明確な答えは未だ出ていません。低用量ピルなどのホルモン剤を使った治療でも症状が改善しない人がいたり、体質によって症状の出方が異なる人がいるわけですから、ホルモンバランスの乱れ以外にも原因があると考えられています。
そこで、PMSが重症化する原因として考えられるものをまとめてみました。
成長期の子供や毎月生理のある女性は、たくさんの血液を作り出す必要があります。血液の細胞の中でも、赤血球の赤い色を作り出すヘモグロビンは、鉄分と結合することで酸素を運ぶことができるので、鉄分が不足すると貧血が起こってしまうのです。この状態が鉄欠乏性貧血。あるデータでは、日本人女性の2人に1人が貧血だと言われています。
注目すべきは、この鉄欠乏性貧血の主な症状です。倦怠感や頭痛、イライラやめまい、眠気や集中力の低下、むくみや月経異常など。驚くほどPMSの症状に似ています。このことから、鉄分の不足による貧血が、ホルモンバランスの乱れなどと重なって、月経前の身体や精神の不調を引き起こしている可能性は十分に考えられますね。
最近になって、白砂糖を摂取し続けることの問題性が取り上げられるようになってきています。これは、長い間甘いものを摂取し続けると、糖質を摂取した直後に血糖値が急上昇して、インスリンの分泌が急激に増えてしまい、逆に血糖値を下げ過ぎてしまうものです。体内のエネルギー不足によって、倦怠感や疲労感、眠気、めまい、イライラ、抑うつ、不安や焦燥感を感じる、などの症状が表れます。このような症状も、PMSとよく似ており、PMSと関連していることが考えられます。
ストレスを抱えている人がPMSを発症すると、PMSの症状がさらなるストレス原因になり、より精神的・肉体的な変調をきたすことがあります。ストレスは女性ホルモンの分泌バランスを乱すこともあるため、「ストレス→PMS悪化→ストレス→PMS悪化→…」という負のスパイラルに陥ってしまうこともあります。
しかし、倦怠感や腰痛、むくみやイライラ、抑うつ感が月経周期と関係なく起こるなら、PMS以外を疑う必要があります。PMSとよく似た症状が出るほかの病気としては、うつ病やバセドウ病など、いくつか挙げられますが、症状を放置しておくと危険なケースもあります。月経が始まっても、イライラやうつ、倦怠感などが改善しないな…と感じたら、すぐに病院を受診しましょう。