生理前になると、なんだか体がだるくて仕事をするのも外出も億劫になることありませんか?
毎回生理になるたびに体のだるさを感じているなら、それはPMS(月経前症候群)が原因かもしれません。ここでは、PMSによって体のだるさを感じている方のために、原因や対処法、だるさを軽減するためのコツなどをご紹介します。
PMS(月経前症候群)の身体的症状の一つである「だるさ」や「疲れやすさ」は、人によって生理の1週間前から症状に出る方もいれば、10日以上前から出る方もいます。
「だるさ」を感じるタイミングは個人差があり、生活週間が乱れていたり、体力の低下やストレスがたまっていたりすると、症状が重くなることがあります。
PMSは、年齢によっても症状の出方が変化してきます。20代の頃はイライラやネガティブな感情が強くなるなど精神的な症状だけだったのに、30代になると「だるさ」など、身体的な症状が出始めるというケースも珍しくありません。
2002年に行われた、未婚の学生50人を対象に行った研究では、月経前に不快症状がある方は全体の8割以上。そのうち、「全身倦怠(だるさ)」を感じる方は、全体の42.2%だったと報告されています。この研究からも分かる通り、多くの女性が月経前に体のだるさを感じていることがわかります。
参照:『月経パターンと月経時の不快症状及び対処行動との関係』山形保健医療研究,第8号,2005
>https://yachts.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=15&item_no=1&attribute_id=17&file_no=1
生理前の女性の体は、ホルモンバランスが乱れます。「体が重くてだるい」「疲れやすい」「なんだか眠い」といったPMS症状は、ホルモンバランスが変動することがきっかけで引き起こされます。
「1」エストロゲンの減少
最近の研究で新たにPMSによる症状を引き起こす原因として考えられているのが、ホルモンバランスの変化が、中枢神経系の神経伝達物質の分泌量を調節する機能の乱れを引き起こしていることです。
生理前にセロトニンの分泌量が低下し、セロトニンという神経伝達物質が減るとうつ症状などの精神的な落ち込みや、疲れやすさを引き起こします。セロトニンの減少は、主にPMSの精神的な症状の原因と考えられていますが、気分も落ち込めば身体もだるく感じやすくなるものです。
また、エストロゲンの減少により体の血行も悪くなり、冷えや倦怠感を感じやすくなります。血行が悪くなれば、不要なものを体外に排出する機能も低下するため、疲れやすさをより感じるようになるのです。
「2」プロゲステロン(黄体ホルモン)の増加
PMSの原因は、実はまだ詳しくわかっていないところも多く、さまざまな説があります。生理前はプロゲステロン(黄体ホルモン)と呼ばれる女性ホルモンの分泌量が増えます。
プロゲステロンが増加した女性の体は、妊娠に備えて子宮内膜が厚くなったり、体温が高くなったりします。また、妊娠しやすくするために体を安静にしようとするため、体がだるいと感じるようになると言われています。
PMS(月経前症候群)の症状の一つ「だるさ」は、他のさまざまな病気や生活習慣からも引き起こされる症状です。
だるさは体の疲れはもちろん、心の疲れによっても引き起こされます。 睡眠不足や不規則な生活、バランスの偏った食生活、ストレスなどはだるさを引き起こす生活習慣と言えるでしょう。
また、風邪やうつ病、貧血などによってもだるさを感じることがあります。過度なダイエットをしていれば肝臓や消化器官が疲弊してだるさにつながります。
そのだるさがPMSによるものかどうかを判断する基準としては、PMSの診断基準を参考にするといいでしょう。PMSの診断基準はいろいろありますが、次の診断基準を参考にしてみてはいかがでしょうか?
<PMSの診断基準>
「1」過去3周期にわたって、月経前5日間に次の精神症状が1つ以上あった
・抑うつ
・イライラ
・怒りっぽくなる
・不安感
・集中力の低下
・対人不適応
「2」過去3周期にわたって、月経前5日間に次の身体症状が1つ以上あった
・胸の張り
・腹部の膨満感
・頭痛
・発汗
「3」1と2の症状が月経開始ご4日以内に消失し、月経周期12日まで再発しない
「4」薬やアルコール、ピルなどを飲まない状態でも症状がある
「5」次の2周期にわたっても同じような症状がある
「6」仕事や人間関係がうまくいかない、死んでしまいたくなる、身体症状の治療をしたい
参照:『月経前症候群(PMS)への対応』日産婦,1996
https://yachts.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=15&item_no=1&attribute_id=17&file_no=1
PMSを発症するかしないかは、ホルモンバランスの変動への感受性によって変わると考えられています。女性の体はデリケートで、ホルモンの分泌が変化し、さらにストレスなどの要因が組み合わされば、だるさをはじめとしたPMS(月経前症候群)の症状が出ることは不思議ではありません。
「1」毎日症状日誌をつける
症状を手帳や日記につけたり、家族や友人にその症状を話したりすることは、支持療法として産婦人科診療ガイドラインでも推奨されています。
「2」非薬物療法
バランスの良い食事を心がけ、有酸素運動、リラクゼーションに取り組むことは、症状改善につながります。また、ストレスが症状を重くする側面も大いにあります。PMSの時期は体が休めと言っているサインだと思って、ゆったり過ごせる時間を持つといいでしょう。
また、カルシウムやマグネシウムなどのサプリメントを飲む、いちご類などを摂取することもいいと言われています。
「3」薬物療法
だるさが重い場合や、他の身体症状がある場合には、漢方やEP剤などの薬物療法も選択されます。
参照:『婦人科疾患の診断・治療・管理』日産婦誌61巻12号
>http://www.jsog.or.jp/PDF/61/6112-657.pdf
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毎回生理になるたびに体のだるさを感じているなら、それはPMSが原因かもしれません。症状が軽め~中程度なら、サプリメントで改善される可能性もあります。ミネラルやビタミンをはじめ、酵素を含むサプリメントがあります。これらサプリメントを上手に活用することでホルモンバランスを整える効果が期待できます。PMSで感情の変化に悩むようであれば、サプリメントも解決方法の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。